本書について コンセプト・目次・課の構成
『人とつながる 介護の日本語』は、介護現場での円滑なコミュニケーション力を身につけることをめざして作成された教材です。簡単に中身を紹介します。
■本書のコンセプト
*学習者が自ら学ぶ力をつける。
学習者が自分で考え、調べ、周りの人と対話する中で答えを見つける習慣を
養うことによって、応用力・運用力がアップします。
*他者への配慮のあるやり取りを心がける。
常に相手を尊重する気持ちを持つことで信頼関係が生まれ、より良いコミュニケーション力が育まれます。
*「介護のこころ」を学び、介護人材としての成長をめざす。
日本の文化や考え方を理解することは、周りの人達への向き合い方を学び、自らの成長につながります。
■本書の特徴
*タスク先行(まずチャレンジ!)で楽しく学べる!
まずイラストを見て話すことから始めます。自分で考えながら進められるので、
楽しく学習することができます。課の最後には、Can-doリストで自己評価を行います。
*モジュール式で、どこからでも学べる!
イントロダクションと第1課を行なったら、あとは自分にとって必要なトピックを選んで学習することができます。
*スパイラル展開で効率よく学べる!
「イラストを見て話す」→「ロールプレイをやってみる」というように、課の
中で難易度を上げながら効率よく学習することができます。
※巻末にある「読み物」で、「ことば・文化・介護のこころ」を楽しみながら学ぶことができ、利用者さんとの「話のタネ」としても活用することができます。





2.課の構成~第4課を例として~
各課8ぺージあります。ここでは、第4課「衣服着脱」を例にあげ、課の構成を示すこととします。

イラストでイメージは出来ますが、タイトルの下にあるリード文で、「この課ではどんなことを学ぶのだろう」と考えてもらいます。この課で必要な言葉なども知ってもらった上で、パートⅠに入ります。
パートⅠには、3つのタスクがあります。
A=イラストを見て、場面について話す。
B=簡単に考えを伝える。
C=「声かけ」をする。
「まずチャレンジ!」を大切にし、学習者が持っている力でやってみます。次に、一つのサンプルとして音声を聞きます。ここでは、学習者やクラスのレベルや目的に合わせて進めてください。「言葉」に関しては、中級以上の語彙は拾ってあり、別冊には3言語の訳があります。また、サイトの「さまざまな語彙訳」は、今後追加していきます。
Cの「声かけ」ですが、これは「やり取り」をするのではなく、「こんな場面では、どのように声かけをするか」ということを学びます。

パートⅡには、2つのロールプレイがあります。
D=利用者さんとやり取りをする。
E=介護スタッフとやり取りをする。
進め方は、パートⅠと同様です。繰り返しになりますが、スクリプトは一つのサンプルであり、これと同じように会話をするということではありません。ただ、会話の中には「便利な表現」「人とつながる表現」などが入れてありますので、学習者に合わせて身につくように進めてください。

パートⅢには、2つのタスクがあります。
F=ミーティングで「申し送り」をする。
G=自分の考えを伝える。
「申し送り」にはいろいろありますが、ここではその基礎となる力を養うことをめざしています。まず「申し送り」を聴いて、内容についてメモを取る。それをもとに、自分でやってみるという順番で行います。メモは日本語でも母語でも構いません。
その後、必要に応じてスクリプトを見た上で、もう一度音声を聞きます。

<ことばのページ>は、楽しみながら表現や言葉を膨らませていくコーナーです。利用者さんとの「おしゃべりのタネ」もたくさん蒔きました。最後に、介護スタッフが考えている吹き出しがあります。学習者の方と楽しみながら、広げていってください。
このページは、3つのパターンがあります。
①覚えておきたい〇〇 (課=1,2,4,7,9,10,11)
②知ってる?〇〇 (課=3,12,13,15)
③介護の基本〇〇 (課=5,6,8,14)

その課が終わったら、最後に「何ができるようになったか」をチェックすると、次の学びにつながります。自己評価を大切にし、学習者が「自ら学ぶ力」を身につけていってほしいと思います。